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ピアノとピアノの音をおくる。東日本大震災・被災地支援プロジェクト


2011.09.07 ピアノを届けに 〜山田町〜

このたびは、更新が遅れましたことを心からお詫び致します。
今後は、できるだけ新しい情報をお伝えできるように務めます。


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9月7日

震災から約半年、いよいよ被災地にピアノを届けます。

今回お届けするのは2件で、どちらも岩手県山田町にお住まいの、ピアノが大好きな中学3年生。
前回被災地を訪れた際に知り合った、ピアノ教室の先生の自慢の生徒さんです。
2名とも、大変な思いをされている近隣への音漏れを配慮して、生ピアノではなく、電子ピアノを希望されています。
今回集まったピアノの中から、音量が調整できる電子ピアノをお譲り頂き、お届けする運びとなりました。
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被災地に向け、早朝4時に東京を出発。
コンサートツアー真っ最中の西村は、本日中に東京に戻ってこなければならず、滞在時間は2時間ほどで、夕方には山田町を出るという過密スケジュール。
平日の昼間は学校に行っているため、本人には会えません。
しかし、一刻も早くピアノを届けたいとの思いから、ツアー中でありながらも、届けるのをこの日に設定しました。



電子ピアノ2台と西村を載せたバンで、630キロの道のりをひたすら走り続けました。

約2ヶ月ぶりの被災地。
天気も良く、川のせせらぎや収穫を控えた田んぼなど、道中の自然の美しさは、今から向かう山田町の惨劇を一瞬忘れさせます。

まずは、今回の窓口となって頂いた、ピアノ教室の先生のお宅に伺うことにしました。
実は、先生自身も被災し、家もピアノも失った方。
しばらくは、津波に飲み込まれる悪夢に悩まされていたそうです。
このたび新居を構えられ、海沿いの市街地から高台に向かいます。
先生の新居は、吹き抜けの気持ちいい明るいお家でした。
しかし、よく見ると、窓にはカーテンがなく、ほとんど家具もありません。
伺うと、食器もすべて支援物資だそうで、どことなくガランとした雰囲気です。
一見、復興してきているように見えますが、まだまだ通常の生活にはほど遠いことが伺い知れます。

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その後、先生の案内で、1件目の生徒さん宅に伺いました。
10月に行われる学校の文化祭で、合唱コンクールの伴奏をするので、早く家で練習がしたかったそうです。
少し高台に位置するこちらのお宅は、比較的被害が少なかったようですが、ピアノを預けていたおばあちゃんの家が、津波の被害をうけてしまい、ピアノも失ったそうです。

待ち受けていたお母さんの誘導で、居間の窓際に電子ピアノを設置しました。
そして、西村が、今回の震災の中から生まれた曲「微笑みの鐘」を演奏。


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すると、爽やかな風が急に吹き込んできました。
しばらく使われていなかったピアノが、新天地で蘇った瞬間なのか。
あるいは、この被災地に、新たな息吹が吹き込まれた瞬間なのか。
震災で生まれた曲が演奏されたその居間は、特別な空気に包まれました。
玄関が開けっ放しだったので、ピアノの音色を聞きつけた近所の子供が、不思議そうに中を覗き込んでいました。



こうして、スマイルピアノの第一号は無事お届けすることができました。

続いて2件目は、
先生の教室の中でも、特に練習好きな男の子。
川沿いにある本瓦葺きの立派な一軒家は、その川が氾濫し、1階がまるまる浸水したそうです。
到着すると、働きに出ておられるお母さんに代わり、おじいちゃんとおばあちゃんが出迎えて下さり、手際よくピアノを運ぶのも手伝ってくれました。
よく見ると、皆一時も手を休めずに、家の修復作業やかたづけをしています。
もう半年もたつのに、まだまだそんな状況。
しばらくすると、お母さんも走って戻ってこられ、挨拶もさながら、西村が曲をお届けすると、汗を拭いながら正座して聞いて下さいました。

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帰り際、おじいちゃんが、「こんな、障子に紙も貼っていないような所に来てもらって...。」と、申し訳なさそうにぽつり。
ピアノの音色が、皆を後押ししてくれることを願いつつ、我々は東京に向かいました。






途中、前回訪れた山田町の市街地に立ち寄りました。
印象的だったのが、瓦礫の中にかろうじて残っていたタクシー会社の建物。
建物を壊されないように、壁にスプレーで大きく「OK」の印。
正直、この壁だけ残してどうなるのだろう、と思いました。
しかし、今回訪れると、「OK」と印を入れたブロックの壁を上手に生かして、見事に営業していました。
止めてあったタクシーが、とても力強く、輝いて見えました。


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ふと、横を見ると、ひまわりが負けないくらい力強く咲いていました。

東京に戻る道中、一件目にお届けした女の子が、西村にメールをくれました。
早速練習してくれているとの嬉しいメッセージ。
きっと、あの居間に、新たな風が吹いている事でしょう。